顧客価値経営フォーラム参加レポート(2026年3月5日〜6日)
2026年3月5日〜6日に東京で開催された「顧客価値経営フォーラム」に、京都経営品質協議会の運営委員として参加してきました。今年は経営品質協議会創設30周年という節目の年でもあり、日本経営品質賞の受賞企業をはじめ、多くの企業経営者や実践者が集う、非常に意義深いフォーラムとなりました。

①全体概要
フォーラムでは、日本経営品質賞の表彰式を中心に、受賞企業による講演やパネルディスカッション、過去受賞企業の実践報告、そして30周年特別セッションなど、多彩なプログラムが行われました。
特別セッションには、アサヒグループホールディングス特別顧問の泉谷直木氏、第一生命保険特別顧問の渡邉光一郎氏、リコー会長の山下良則氏が登壇し、VUCA時代における企業経営や顧客価値経営の方向性について議論が交わされました。
その中で、「予測が難しい時代にはストーリー型ではなくナラティブ型の経営が求められる」「企業が持続するためには経済価値だけでなく社会価値の創出が不可欠」といった指摘がなされ、これからの経営のあり方について多くの示唆が共有されました。
②日本経営品質賞受賞企業の講演・パネルディスカッション
今年の日本経営品質賞は、食品スーパーのワイズ・マートと、介護事業を展開する合掌苑の2社が受賞されました。
ワイズ・マートは1975年創業、首都圏を中心に42店舗を展開し、売上高約548億円を誇る食品スーパーです。「現場が経営するスーパー」を掲げ、店舗ごとの小集団経営(店主制)による権限移譲や、店舗・商品別の売上データの徹底公開などを通じて、現場主体の経営を実践しています。権限移譲・情報共有・評価制度を三位一体で運用する仕組みにより、坪当たり売上は業界平均の約2.5倍という高い生産性を実現されています。
一方、合掌苑は介護施設などを運営する社団法人であり、「人生を前に進める介護」という理念のもと、人を大切にする組織づくりを進めています。理事長の森一成氏のもと、「ロマン(理念)とソロバン(現実)」を両立させる経営を掲げ、IT活用による業務改善や働きやすい制度づくりを通じて、介護の質と職員の働きがいの両立を目指されています。
③個人的な感想
今回のフォーラムを通じて強く感じたのは、組織の規模や業種にかかわらず、世の中の激しい変化に対応するための組織の変革能力を高めていかなければならないという覚悟が、年々高まっているということです。
その中で、変化に対応するためには何もかもを変えるのではなく、自分たちのありたい姿や社会における使命、大切にする価値観といった軸をしっかり持ちながら、「変えるべきもの」と「変えてはならないもの」を見極めていくことの重要性も、各社の実践から強く感じられました。
また、今回登壇された受賞組織の取り組みからは、受賞がゴールではなく、そこからさらに学びと改善を加速させていることがよく伝わってきました。すでに高い評価を受けた組織であっても学びに終わりはなく、より良い経営を目指して問い続け、磨き続けておられる姿が印象的でした。
顧客価値経営や経営品質向上活動そのものが目的なのではなく、自分たちの経営をより良くしていくための有効な手段として活用されている――。今回のフォーラムを通じて、その本質をあらためて実感しました。今回得られた多くの学びを、京都経営品質協議会の活動や地域企業の取り組みにも活かしていきたいと考えています。
(京都経営品質協議会運営委員/マネジメント・ラボ 代表 高橋良和)

